リレーコラム38 宮崎良洋 2020年12月

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雑 感 -コロナ禍に思うこと-

宮崎良洋

藤堂さんからリレーコラムの依頼があり「次につながらなかったらどうしよう」などといろいろ迷いましたがお引き受けすることにしました。テーマを何にしようか思いつかないのでこのコロナ禍において感じたことを思いのままに記したいと思います。

1月中旬に国内で初めて感染者が確認されてから11月に入り感染者も累計10万人を超え増加に歯止めがかからない状況です。このコラムが掲載される頃には全国的に「第3波」の到来が現実になっているものと予想されます。

さて私は、単科の精神科病院に勤務しておりますが4月に県内で初の感染者が発生した時、当院デイケアは約1か月半中止となりました。再開後も1か月間、集団プログラムは中止の措置がとられ、これまで、直近1週間の感染発生状況により2回このような対応がとられています。

デイケアでは、就労など次のステップを目指している方や日中の居場所として利用したい方など目的にあわせ「目的志向コース」「日中支援コース」の2つのコースに分かれています。個人で取り組むプログラムのほか多くの集団プログラムがあります。グループミーティング、グループワーク、SST、就労SST、就労準備グループ、思い出会(回想法)、心理教育などの様々なグループアプローチを行っています。

私は、主にグループワーク、SST、就労SST、心理教育など担当しており、特にグループワークでは集団精神療法の中のひとつのアクションメソッドを用いて行う心理劇を実施しています。前回のコラムで藤堂さんがサイコドラマについて説明されておられましたが、主役中心のサイコドラマいわゆる古典的サイコドラマと呼ばれるものではなく観客は置かず全員が何らかの役割をとってもらい、交代しながら数名が主役になっていくいわゆるオムニバス形式での「楽しむサイコドラマ」を実施しています。キーワードは「プレイフル」。遊び心を大切にいろいろな役割を体験してもらいながら自分らしさを表現してもらっています。

またSST、就労SSTにもサイコドラマの技法を応用したDSST(application of dramatic techniques to SST)を実施しながら認知的・行動的スキルの改善をトレーニングしています。心理教育の中でも薬理作用などについて理解するために参加者に役割をとってもらいながら展開していくソシオドラマの方法で知的理解だけでなく体験的理解ができるように進めています。

ところで、集団プログラムが中止の間、どんなプログラムを実施していたのかといえば当然「密」とならないプログラム。読書、創作など個人で取り組むプログラムや散歩や農芸など屋外でのプログラムとかなり制限されたものでした。カラオケも禁止、私語もダメと厳しい条件下でも毎日通所してくる人もいましたが「〇〇を楽しみにしているのにできないんですか」とか「集団プログラムが解除になるまで休みます」という利用者もおり参加者も減ってきました。一つ一つの集団プログラムはその目的は違いますがデイケア自体が構造上、集団精神療法的であり改めてグループの持つ魅力を垣間見た思いがしました。現在は、ソーシャルディスタンスを保ちながら実施していますがグループの内容により制限せざるを得ないものもあり、特に身体的接触を含めた距離が近い心理劇は残念ながら封印している状況です。

さて、翻ってコロナ禍の今、社会では集団という場所が制限され避けられつつあります。集団精神療法においても対面が難しくグループや研修会などオンラインが増えてきています。

そういう状況の中、10月24日・25日の2日間、「第26回日本心理劇学会栃木大会」がオンラインで開催されました。初めてのことでありそこにはいつもとは違った「ワクワクドキドキ」感がありました。これまでのワークショップでは「これから何が起こりどんな展開になっていくんだろう?」という期待を込めた「ワクワクドキドキ」がありましたが、オンラインによるワークショップでは「うまくPC操作ができなかったらどうしよう」という不安に包まれた「ワクワクドキドキ」でした。

何はともあれ、実際オンライン上での心理劇の展開は技法的な難しさが感じられました。しかしながらデメリットもあればそこには必ずメリットもあるはずです。オンラインを通して逆に対面では考えられもしなかったことへの気付きもありました。

そのひとつに大会では本当に久しぶりにお会いする方もあったりまた海外からの参加もあったりとまさにオンラインならではのメリットを感じました。予定時間になれば自宅にいながら好きな格好でその場所に飛んでいける。「まさにオンラインは現代のどこでもドアや!」と思った次第です。

「対面」と「オンライン」という集いの形態は違いますが(ウェブ上での)同じ場所と時間を共有していることについては共通しています。ついてはその感じ方をオンラインでどう伝えていくのか、どう表現していくのか、会員の皆様もそれぞれの技法上での困難さはあるかと思いますが、その可能性を求めて自発性と創造性を発揮して創意・工夫していくことが課題になっていくのではないかと思います。そのためにはまず自分がウォーミングアップしていくことがとても重要ですが「私はまだできておりません」ことを独白してコロナ禍という状況の中これまで思ったことを語らせていただきました。

(日本集団精神療法学会公式HPリレーコラム2020年12月)

※PDFファイルで読む → リレーコラム38 雑感-コロナ禍に思うこと- / 宮崎良洋

 

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