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学会前史

2023年3月13日

1978.4.6

国立精神衛生研究所の加藤正明所長のもとに数名の精神療法家が集まり、集団精神療法学会設立についての話し合いを行う。そこで、学会にするにはもっと時間が必要なことや、心理の人たちへの呼びかけが必要なこと等の問題点が出され、その結果、しばらくは小人数のコアグループで会を重ね、徐々に広げていくことにしようということになった。

1978.5.15 “キックオフ” ワークショップ「統合精神療法の理論と実際」

カナダとチェコで、ノイローゼに対する合宿、デイケア方式の集団精神療法(統合精神療法)を行っている F. Knobloch 氏を囲んでのワークショップであった。この企画は、学会設立へ向けての“キックオフ” ともいうべきワークショップとなった。

1978.10.3 オープニングシンポジウム「病院の中での集団精神療法」

仙波恒夫氏、鈴木純一氏、山口隆氏の各氏が話題を提供するという形で行われた。当日の PR はほとんど行われていなかったが、日大の講堂いっぱいに人が参加したという伝説のあるシンポジウムであった。
「病院治療について(映画をまじえて)」仙波 恒雄(千葉病院)
「病院内大グループ」鈴木 純一(海上寮療養所)
「病院内小グループについて」山口 隆(日本大学、青木病院)

1979.2 集団精神療法研究会の設立

集団精神療法家の交流、研究、そして普及の為の講習会をもつことを目的として年2回のセミクローズドの研究会と、年1回のシンポジウムを開くことが決まった。この会の名称は、「集団精神療法研究会」とした。

1979.9

集団精神療法研究会ニュースが創刊*のちに日本集団精神療法学会ニュースに発展する。
*集団精神療法における臨床心理の人達の役割の重要さが討議されていた。

1979.6.2 第1回ワークショップ

「精神病院における小グループの治療経験」渡辺 登(日本大学、青木病院)

1979.9.22 第2回ワークショップ

「心理スタッフによる院内集団療法の実践報告」大田 民雄(三枚橋病院)

1980.1.26 第1回シンポジウム

「入院グループにおけるグループプロセス」吉松 和哉(東京大学精神衛生)
「デイケアグループにおけるグループプロセス」太田 敏夫(東京大学精神神経科)
「外来グループにおけるグループプロセス」溝口 るり子(青木病院)

1980.6.14 第3回ワークショップ

「分裂病への心理劇の試み-“役割拒否”から“役割実現”へその発達プロセス-」
成沢 博子(針生ヶ丘病院)

1980.9.13 第4回ワークショップ

「治療共同体におけるグループ活動」鈴木 純一(海上寮療養所)

1981.1.31 第2回シンポジウム

「精神分裂病に対する集団精神療法の概観」近藤 喬一(町田市民病院)
「精神科救急病棟における病棟大グループの治療的役割について」窪田 彰(都立墨東病院)

1981.6.20 第5回ワークショップ

「サイバーネーション療法」石川 中・野田 雄三(東京大学医学部附属病院分院心療内科)

1981.9.19 第6回ワークショップ

「総合病院における集団精神療法の経験」畑下 一男(関東労災病院)

1981.11.17~11.19 第1回モレノ女史心理劇講習会

Zerka Moreno 女史のサイコドラマセミナーを行った。1日約 100 名近くの人が参加し感銘を残した
会となった。彼女の来日は、日本のサイコドラマ家への大きな刺激となり、又、集団精神療法研究会への支えにもなった。

1982.1.30 第3回シンポジウム

「交流分析の立場から」国谷 誠郎(日本交通公社)
「森田療法の立場から」丸山 晋(国立精神衛生研究所)

1982.6.26 第7回ワークショップ

「進行性筋ジストロフィー症患者の末期ケア-末期以前からのグループワークによるケア-」
石川 中・野田 雄三(東京大学医学部附属病院分院心療内科)

1982.10.23 第8回ワークショップ

「ソーシャルワークにおける集団活動の現状と課題」
窪田 暁子(日本福祉大学社会福祉学部)

1983.2.19 第4回シンポジウム集団精神療法講習会

「精神病院での集団療法」鈴木 純一(海上寮療養所)
「入院と外来の小集団精神療法」山口 隆(日本大学精神神経科)
「地域でのグループワーク」増野 肇(栃木県精神衛生センター)

1983.2.19 第4回シンポジウム

「どうしてグループなのか」
坂口 信貴(北九州デイケアセンター)
大田 民雄(三枚橋病院)
藤沢 万紀代(県立高茶屋病院)

1983.5.21 第9回ワークショップ

「人の出入りによる小集団の患者の態度変化について」
原田 忍(滝川中央病院)

1983.9.22~9.25 第2回モレノ女史心理劇講習会

監督:Zerka Moreno

1983.1.27-28 第1回集団精神療法学会(会議)

6年間にわたる準備活動ののち、ここに集団精神療法研究会は発展的に解消し、その後、日本集団精神療法学会が発足することになる。更に、1983.2、日本集団精神療法学会は、国際学会(IAGP)によりその支部として正式に承認されることになった。(その後、今日では多少事情が異なっている。)

1983.4.27

日本集団精神療法学会の役員会が発足し、会則をどうするか?会員を厳しく制限するか?広く集団療法と呼ばれるもの、グループワークのようなものを取り入れるか?等が討議され、結果、あまり厳格にせず、グループワーク的なものも含めて行こうということに決定した。そして、1984年1月28-29日、記念すべき第1回日本集団精神療法学会大会が開催されることになるのである。

文献

阿久澤克章・宮崎克也(2008):日本集団精神療法学会誕生までの経緯と歴史.集団精神療法学会誌,24(2),204-207.