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皆さま こんにちは(新理事長あいさつ)

2021年11月30日

 皆さま こんにちは。今年度から日本集団精神療法学会の理事長をお引き受けすることに
なりました武井麻子です。
 本学会の前身である「集団精神療法研究会」が生まれたのは、1973年のことです。そ
れからすでに40年以上が経過していることになります。その後、1983年に「日本集団精
神療法学会」が発足し、翌1984年1月に第1回の大会が開催されました。いずれも海外
から著名な集団精神療法家の来日を機に、日本でも専門家が集って互いに研究・研鑽を積
んでいこうという機運が盛り上がっての動きでした。中でも、1981年と83年の2回にわ
たって行われたサイコドラマのザーカ・モレノ女史の講習会は、研究会から学会へと発展
する大きなきっかけとなりました。
 本学会の初代会長は、戦後の日本でいち早く集団精神療法に関心を寄せられ、米国にも
研修に行かれた国立精神衛生研究所所長(当時)の加藤正明先生、副会長は心理劇の松村
康平先生でした。その他にも、サイコドラマの増野肇先生、治療共同体の鈴木純一先生、
Social Skills Training(SST)の宮内勝先生や前田ケイ先生などのほか、中井久夫先生も
理事に名を連ねておられました。その当時はまだ、「集団精神療法って何?」という雰囲
気が一般的でしたが、今では世界的にも、治療やリハビリテーション、あるいは教育の場
でグループの視点や方法はなくてはならないものとなっています。
 本学会は、集団精神療法をうたっていますが、治療のための集団(グループ)に限らず、
成長や回復を援助するさまざまな場面でグループの発想(グループ・マインド)を生かす
ことができるように、探求していきたいと考えています。ですから、学会員の職種も医師、
臨床心理士に限らず、看護師、保健師、ソーシャルワーカー、作業療法士、理学療法士な
どなど、多岐にわたります。かくいう私も看護教育に携わる教員で、今は臨床の場でグ
ループとかかわることはほとんどありません。
 ですが、グループ・マインドというものは、個人の治療や成長、回復を支える力、リジ
リエンスを強化するものですが、同時に、家族、職場、学校、組織から地域社会にいたる
まで、人々が生活する中で日々かかわりあっている人間関係についての理解を助け、より
健康なものにしていくための知恵を育みます。
 皆さまがこの学会という場での体験を、それぞれの人生に生かしていかれますよう、私
も微力ながら尽力していきたいと思います。どうぞ、ご協力のほどお願い申し上げます。

武井麻子