ぼちぼちいこかということや/角邦弘さん (リレーコラム49)
ぼちぼちいこかということや
角邦弘
みなさん、グループしてますか?
次回、2021年12月5日(日)第80回 KOBEグループ勉強会は、
「災害とメンタルヘルスに関する集団精神療法」をテーマとしたグループです。
オンラインではありますが、グループで考え、語り合える場にしたいと思います。
みなさんの参加をお待ちしております。
当直明けの11時ごろに、メールに気づきました。
でも、いま無理!絶対無理!
毎日何かに追われている生活。
コラムの原稿なんて、無理無理!
老老介護の母の入院や一人暮らしの父、趣味のこと(温泉)、
自分自身の健康管理(五十肩と半年おつきあい中、ぎっくり腰手前注意報)、
職場では、評価面談、評価表作成。
人事課ニュースの原稿(実習指導者会についての宣伝と報告、毎回2ページ担当)
勤務表作成(看護師のベストセラーなので、早く作るのをみんな待っている。
10日までには、完成しておくことに)
そして、実地指導と保健所の立入検査。聞き取りやラウンド。今回は、特に、、、
これらを締め切りまでにほぼ同時進行しながら、締め切り日前には、終わらせて、、、
なので、無理、無理!待てよ、17日、18日は連休にしてある。
これは、緊急事態宣言解除を見込んで、
楽しみにしていたピーチで、GO TO 温泉だった(鹿児島霧島指宿)
原稿の締め切りを少し延ばしてもらって、
この日に書けるということやね。(ポジティブな性格)
その日の夜に、高さんからのバトンを受け取りました。
まあ、温泉は、次のお楽しみに置いとくか。ということで、原稿を書いています。
このコラムが発表される11月といえば、集団精神療法学会と出会って15年になります。
ある日のこと、春分の日、こどもたちの昼食(焼き飯)を台所で、作っていました。
「あれっ、なんか変やな」と思いながら、持っていたフライパンを置いて、
ガスを止めて、さらに「なんやろ」「なんか、おかしい」
だんだん身体中から冷や汗が出てきて、寒気が襲ってきます。
厚着をしましたが、治るどころか、身の置き所がなくなってきて、
しまいには、胸にせんべいが張り付いていました。(そうとしか表現できない身体感覚)
もう、正常な判断ができなかったのでしょう。
高齢者施設に勤務中の妻に辛うじて電話したのが、あとあと命拾いになりました。
妻が119番通報してくれていました。
こどもが「救急車来てる!」とびっくりして叫んでいました。
歩いて、救急車に乗って、ベッドに横たわりました。
救急隊がバイタルサインや症状や経過を聞いてくれます。
酸素マスクをつけてくれるのですが、「いや、それよりもせんべいを取って!」
「せんべい、、、」としまいには、声も出せなくなって、、、
気づいた時には、(本物の)三途の川が目の前にありました。
(本能的に)泳ぎたくなってきて、「あれっ、泳がれへん!」
うまく手足が動かせなくて、溺れてしまいました。
心筋梗塞でした。
目を開けると、家族みんなが私の顔を覗き込んでいました。
ベッドで数時間意識がなかったようです。
張り付いていたせんべいの代わりに、身体中には管がいっぱい入っていました。
「楽な病棟に異動やから、無理ないようにして」と当時の看護部長に、
言われるまま5ヶ月休職後に復帰しました。
確かに「楽」と言えば「楽」やけど、こんな「楽」はイヤだ!
一部のスタッフ(全員ではありません)は、ナースステーションから出て行って、
反対のドアから数分後に戻ってくる。
おやつタイムが1日2回ある(患者さんは1回)
それはまだマシなほうで、一部のスタッフ(全員ではありません)は、
いつもナースステーションにいて、いつ患者さんと関わっているのか、、、
一部のスタッフ(全員ではありません)は、ナースステーションにいないなと思えば、
ラウンドしたら、廊下で世間話をしている、、、
この人たちが、看護師としてどうしたら働けるのかなと考えていて、、、
そこは、戦前に建築された病棟でした。大掛かりな病棟改修工事があって、
病棟にいる事ができないほどの騒音があるので、バス旅行に行きました。
奈良や淡路島に行って、仕掛けを考えていました。
ナースステーションにいる時間よりも、ナースステーションから出て、
患者さんと過ごすようにしてみよう、、、
「いつもの時間、いつもの場所で」を合言葉に
その頃に、医療安全委員会から、薬について病棟で勉強会をしませんかと話がきました。
「病棟で」という言葉に、チャンスだと思いました。病棟のデイルームでしよう!
ナースステーションの窓から眺めるのではなくて、患者さんといっしょに過ごす。
病棟のスケジュールにしてしまおう。
何曜日の何時に、、、定期薬準備がなくて、お風呂の時間じゃなくて、、、
明日から始めよう!
「えっー、明日?」「いきなり!」とスタッフの声は聞こえてましたが、、、
その前に、致命的な不整脈が出やすいと指摘されて、
ICDを埋め込む(人造人間キカイダー)ことになりました。
いつ死ぬかという心配もありました。
真ん中にテーブル、周りに椅子を並べて、40人ほどの患者さんが集まりました。
テーブルの上には、コーヒーとか紅茶が準備しています。
薬については「先生が出してくれてるそのまんま飲んでる」「どんな薬飲んでるか知らん」
「今度バスでどこいこ?」「トイレのペーパーが、、、」と、いろんな発言がありました。
コーヒーだけ飲んで部屋に帰る人、柱の後ろにいる人、いろんな参加の方法がありました。
終わってから、すぐに「次いつするの?」「紅茶美味しかったわ」
来週も「いつもの時間、いつもの場所で」毎週することをポスターにしました。
スタッフの中(全員ではない)には、
「意味がわからない」「そんなことしたくない」抵抗勢力が多かったです。
その人たちがいてくれていたから、グループを続けていくことができました。
「ぼちぼち」が合言葉になりました。
1番は患者さんの力でした。患者さんが助けてくれました。
グループでは、何も決まりません。多数決はありません。
大晦日の紅白は多数決になりそうでした。
でも患者さんがいつもの時間、いつもの場所にきてくれました。
スタッフも役割を決めての参加でした。詰所待機係は、詰所で作業してくれていました。
2年ほど経ってようやく、「グループのある病棟」が定着した感触が持てるようになりました。
自発的なグループ「女性だけのアロマグループ」「漢字る会」「体操クラブ」
看護師がこんなグループやってみたい、患者さんはこんな希望がある、、、など。
病棟の中に、グループがある。
患者さんと看護師が関わり合いを持つ姿のある病棟に変化しました。
その頃から、地域の勉強会に事例提供していき、
ICレコーダーを文字起こしをして、シナリオを作ったり、
学会や研修会に参加する人が増えていきました。
グループをしながら、グループの勉強をしている感じでした。
その次の女性病棟では、毎週のコミュニティミーティングは、
もちろん、喫茶グループも毎週金曜日の「いつもの時間、いつもの場所」になりました。
コミュニティーミーティングでは、
「退院してもいいの?」「追い出すつもり?」退院の話題が多くなってきて、
「退院のことを考える会」では、
地域にマンションを借りて、そこでお試しを体験しました。
歩いて10分ほどの距離にあって、スーパーやコンビニ、100均などで買い物して、
たこ焼きや鍋を、みんなで食べたり、企画から話し合いをしていました。
「お金どうするの」「食事は、コンビニでいいや」40年ぶりに退院できました。
「アロマ」のグループは、
娯楽室の畳で、アロマの香りの中、横になったりするのもオーケイでした。
この1年半は、コロナ禍で、オンライン開催を余儀なくされています。
基礎学習会は、オンラインでもできなくはないなあ。
講義形式は、いまオンラインで普通にあります。
体験グループは、どうだろ、、、なんか違うなーと思い。
オンライン最初の頃、体験グループの時間に、
急用があって、数分退席した事がありました。
対面では、退席していたのかどうか、、、
以降は、体験グループは、自宅以外ですることにしました。
やっぱり、体験グループは、対面でないとですね。
事例検討は、個人情報の扱いが難しい。
シナリオロールプレイの方法はどうしたらいいのだろ。
席順とか、役割とか、プレゼン方法に工夫が必要。
参加者の確認方法は、どうするのだろう。
そんなこんなことを考えるのもコロナ禍の今だけかなぁ、そうであってほしいなあ。
オンラインという方法で開催することを、
いつも考えておく事が必然になっているのでしょうか。
いえいえ、事例検討会と体験グループは、対面に戻ります。戻るはずです。
そう言えば、もうだいぶんと事例提供していないな。
事例提供できるものがない!
現在勤務している病棟では、もともとグループ活動がありません。
レクも中止になるし、外出も、病棟閉鎖にもなるし、、、
コミュニティーミーティングを始めたいなぁと思っていた矢先に、
コロナが、、、コロナのせいです。
病棟では、オンラインはできないので、
感染対策を充分にしたグループができるようにしていきたい。
マスクして、フェイスシールドつけて、パーテーション挟んで、
2メートルディタンスとって、換気して、、、難しい。
どんな方法でできるかな。できない理由を考えるよりも、
どうやったらできるかを楽しく考えてみよう。
コロナ禍の間に、グループの学習をしておこうと思っていましたが、、、
現場でグループができない間に、グループについて、今までのことを考えながら、、、
いつでも「はじめます」と言える準備をしておこう。
学会に参加できてなくて、
老老介護、自分を取り巻くこと、
加齢にまつわる色々な事、仕事、病院のこと、、、
いろいろありまして、できませんでした(言い訳)
次の39回学会に参加表明して、バトンを渡します。
といろいろ考えながら
「ぼちぼちいこかということや」
(日本集団精神療法学会公式HPリレーコラム2021年11月)
※PDFファイルで読む →リレーコラム48|角さん2021年11月