リレーコラム16 柿田充弘 2019年02月

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「つどいのクリニック」を探索する

柿田充弘

昨年9月、長野県飯島町にて「つどいのクリニック柿田」という名の精神科診療所を開院しました。
飯島町と言っても正直なところ、あまりピンとこない方が多いかと思います。
平成25年に第30回大会が開催された駒ヶ根市の南隣に位置する、人口1万人弱の小さな町です。町内を中央道が貫きますがインターチェンジはありません。

そんな町でクリニックを開業するにあたって「つどい」などという集団精神療法の代表を僭称するような名前をつけてしまい、勝手にプレッシャーを感じています。
当初は、グループができるこじんまりしたクリニックを開きたい、そして、地域に息づくコミュニティを応援したい…との素朴な思いでのスタートでした。計画が進み、顧問会計士や銀行、そして設計士とのやり取りを重ねるにつれ、現実と「つどい」の概念をすり合わせる作業に当然ながら直面していきました。
それでも、現役精神科師長を含む心強いスタッフが集まってくれたり、町の開業医支援施策が活用できたりといった「僥倖」のおかげで、比較的自由にプランニングさせていただける状況が整いました。

そもそもは、地域に暮らす患者さんたちとの言語を介したグループをイメージしていましたが、スタート当初は医師としての診療業務を優先せざるを得ず、クリニックとしてどのようなコンテンツを提供できるかについて思案を巡らせました。
患者さんもスタッフもそれぞれの役割と責任を意識しながら参加するグループ…を開院当初から実践できる形にはなかなか思い至ることができませんでした。地域の皆さんに「つどい」への関心を持っていただくことから始めなきゃ…というわけで、まずはアクティビティを介したグループを無償で提供することにしました。幸い、ヨガ、マインドフルネス、カラーセラピーなどの入門講座を開いてくださる専門家の皆さんとのご縁があり、積極的な協力をいただくことができました。

開院してまもなく半年、クリニックに関わってくださる皆さんには感謝しかありません。しかし、私の中では「つどい」のあり方を模索する日々が続いています。
自分自身のグループを開きたいとの思いもありますが、今しばらくはさまざまなものをコンテインできる器を保つことを職務として、完成形のないダイナミックな「つどい」を探索し続けたいと考えています。

 (集団精神療法学会HP リレーコラム 2019年2月)

※PDFファイルで読む → リレーコラム16「つどいのクリニック」を探索する/柿田充弘 

 

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