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リレーコラム「集団精神療法のさまざまなかたち」 No.06 ~SST編③ SSTに興味がある方や実践した事がない方へのメッセージ

SSTに興味がある方や実践した事がない方へのメッセージ

羽田 舞子

今回、広報委員の方から「SSTの面白さや魅力が伝わる内容を、楽しく自由にお書きください」とのご連絡を頂いた。リレーコラムの『サイコドラマの魅力~私の場合』の中では「お書きください!」だったとのこと。「!」ひと文字の違いが、私の中にどう影響を与えたかはわからないが、私がSSTについて思っていることを少しだけ書かせていただきたいと思う。

SSTを始めた頃、私は常に緊張していた。プログラムの事前には「こう言われたらどうしよう」、途中では「この場合はどういう言葉を言うべきだっけ?」「次のリーダーの動きは何だっけ?」、終了後は「あれで合っていたのだろうか?」「あの言い方は駄目だったのではないか?」。多くの「すべきこと」や「いわなくてはいけないこと」に囚われて緊張していた。SST初級研修で手に入れた台本を頼りに、それに沿った流れにグループを動かそうと必死だった。なんとなくSSTは、やらなくてはいけないことが決まっていて難しいもの、と思い、時に苦痛すら感じながら続けていた時期もある。しかし、少しずつは私の中で変化があったのだと思う。

もし今「SSTを始めたいが難しそう」と誰かに言われたら、「難しいことはあるかもしれないけれど、楽しく自由なもの」と答えるだろう。希望する状態に向けて、やりとりをしながらどうしたらよいかを皆で考えていくのは、楽しく自由で創造的な時間だと思う。そう思えるようになったのは、私がSSTの技術が向上したからでも知識が増えたからでも無く、SSTは参加者とのやりとりで進んでいく、という基本的なことがようやくわかるようになったからだと思う。

あるセッションが終わった後、テーマを出した参加者が、終了後に「話している中で自分の本当の気持ちに気づいた。みんな共感してくれて、自分だけが悩んでいるのでは無いこともわかった」と感想を言ったのを聞いて、私は叱られたような気持ちになった。どうして叱られた気持ちになったのか気になって考えると、「ちゃんと進めなくてはいけない」と気にして自分とは全く別な時間が、テーマを出した方やグループには流れていたことが、とてもショックであったのだ。

SSTの各技法は対話の流れを後押しするものであり、技法を駆使して参加者をどうにかしようとするものではない。遅ればせながらようやくそれを思い知った時から、少しSSTへの抵抗感が減ってきたように思う。

 

今回担当させていただいたコラムは「SSTに興味がある方や実践した事がない方へのメッセージ」だったのだが、ここまでを読み返すとメッセージ性があまり無いような気がする。メッセージは「SSTを一緒にやりませんか!」

 

日本集団精神療法学会公式HPコラム No.06 2023年10月)

 

※PDFファイルで読む →SSTに興味がある方や実践した事がない方へのメッセージ