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リレーコラム

SST「現場での体験談」

片柳光昭

 

私がSSTを初めて知ったのは、約25年前に精神科病院付属の精神科デイケアで勤務していた時である。当時、勤務先でSSTプログラムを導入することが決まったのだが、スタッフは誰もSSTを行ったことがなかったため、別の部署に所属していた認定講師にお願いして、通所者を対象にしたSSTを何度か実践していただいた。見学という形でSSTを初めて見た私の印象は、決して良いものではなかった。プログラム中、何度も拍手をしたり、褒めることが続いたり、進め方も決まっていて、日常の生活とはかけ離れたやり取りのように感じ、これは一体何をしているのかと全く理解ができないでいた。しかし、私の反応とは異なり、参加している通所者は表情をイキイキとさせ、普段ほとんど他者交流が見られない通所者がロールプレイを行ったり、他の通所者のために自分の経験を話したりと、私が知らない通所者の側面をいくつも見ることができた。そのことはとても衝撃的だった。通所者の様々な生きる可能性を感じられたことが嬉しくて、SSTについて少しずつ学びを深めていった。

その後、私も含めた精神科デイケア専属のスタッフが週に1回の頻度で実施することになり、毎回、準備と終了後の振り返りが続いた。準備では、朝早くに職場に出向き、誰もいないデイルームに椅子を並べて、デイケアにあったぬいぐるみを椅子の上に置き、本番さながらに予行練習をしたりもした。参加者のよかったところ、できているところを上手く本人に伝えられず、ほめる言葉全集というようなタイトルの書籍を購入したこともあった。準備を入念にしても上手くいかないことも多かったが、参加者から「今日の練習で自信が持てた」「そんなスキルがあるなんて知らなかった。知ることができてよかった」といった感想が少しずつ聞かれるようになり、少しは役に立てている気がして胸をなでおろした記憶が残っている。

それでもSSTの時間が始まると頭が真っ白になり、何を練習したらよいのか、次にどう進めたらよいのか、展開が全く見えなくなることが度々起こった。そういう時に限って、リーダーである自分がしっかりしなければ、自分がグループをまとめて進めていかなければとの思いが余計に強くなり、仮に頭が真っ白になったとしても、それを参加者に悟られないように半ば強引に進めていく…そのようなやり方は当然上手くいくはずもないのだが、他に手立てがあるわけでもなく迷子になることが多々あった。ある日のSSTでのこと、例によって進め方が分からなくなってしまった。どうしたらよいのか、その先が見えずに困って立ち尽くしていると「リーダーさん、こうしてみたら?」「次は、これをやればいいんだよ」と参加者から暖かな声が聞こえてきた。そうか、参加者の皆さんからの声に助けてもらい、一緒にSSTを作っていけばいいのかとハッとさせられた。目の前にいる参加者が見えなくなり、SSTを上手く進めることばかり気を取られていたのだ。いくらSSTを上手く進めたところで参加者の豊かさにつながなければ私の自己満足でしかない。SSTは目的ではなく手段であり、その目的は参加者の生きる豊かさを広げ、深め、高めるためであることを、このような苦い経験を通じて何度も教えていただいた。

これまで様々な場面でSSTを実施してきたが、25年以上経過した今も、始める前には緊張もするし、上手く進められないこともまた起こる。それでも、参加者が抱えている困りごとや問題の解決に向けて、その場にいる全員がいろいろな可能性を探りながら進んでいく時間はいつも創造性に満ちている。そのような時間をこれからも大切にしながら、SSTに携わっていきたいと考えている。

 

 

日本集団精神療法学会公式HPコラム No.05 2023年9月)

※PDFファイルで読む → SST「現場での体験談」

ニュースレター

会員の皆さま

今年はいつにも増して厳しい夏となりましたが、これからもまだまだ暑さが続くようです。
秋の研修会の頃には、涼しくなることを祈るばかりです。

さて、ニュースレター最新号(Vol.38)をお届けいたします
各委員会等の活発な実践の内容や、会員の皆様への熱心な呼びかけが数多く掲載されています。

内容
・教育研修委員会より・・・秋の研修会の申込受付中
CGSミーティング(10月7日)のご案内
新しく認定されたGPTのご紹介
プレコングレスの実施報告
・第40回学術大会より・・・大会長からお礼のメッセージ
・第41回学術大会より・・・大会長からのご案内メッセージ、HP開設のお知らせ
・編集委員会より・・・最近の査読状況について
・相互支援委員会より・・・「災害とメンタルへルスに関する相互支援グループ」予定等
・倫理委員会より・・・倫理についての議論は楽しい
・渉外委員会より・・・渉外ワーキンググループの取り組み
・広報委員会より・・・委員会の活動紹介
・訃報・・・田原明夫先生ご逝去

どうぞ目をお通しください。
(ニュースレターは学会公式ウェブサイトの会員ページからもご覧いただけます。)

広報委員会

 

2023年8月31日JAGP41

41回大会のホームページを開設いたしました。以下のQRコードからもアクセスできます。発表申し込みページから各発表の申し込みが可能となっています。皆様のご発表をお待ちしております!



2023年8月18日相互支援委員会

「災害級の暑さ」という言葉がニュースで飛び交う時期になりました。気象庁のデータから見ると日本の年平均気温は100年前に比べて1.3℃上昇しています。暑い日が続きますがみなさまはいかがお過ごしでしょうか。「災害とメンタルヘルスに関する相互支援グループ」のご案内です。 今までオンライングループでの開催が続いておりましたが今回10月15日(日)に開催されるグループはハイブリッド開催を予定しております。

このグループでは今までに発生した世界や日本の災害だけではなく、今後起こると想定されている災害、戦争などの人災、新型コロナウイルスによる影響、支援や被害にまつわる感情など、様々なことが語られてきました。もちろん災害についてばかりだけではなく、個人の日常に関する内容についてもグループでは話されています。

災害などについて興味はあるけれどもどのように語ればよいのかわからない方、災害支援や被災経験のない方もよろしければご参加ください。グループに触れることで湧き出る言葉があるかもしれません。あわせて各地の災害関連の研修会に関しましてもみなさまのご参加をお待ちしています。(文責 橋本)

 

「災害とメンタルヘルスに関する相互支援グループ」(災害について語るグループ協賛)

 

第8回

日時:2023年10月15日(日)10:30~15:45

内容:体験グループ 75分×3セッション (ハイブリッド開催)

場所:錦糸町クボタクリニック

コンダクター:相互支援委員会委員

使用予定のアプリケーション:Zoom

対象:

・日本集団精神療法学会会員の方

・以前に相互支援グループに参加歴のある非会員の方

・日本集団精神療法学会会員から紹介を受けた非会員の方

定員:現地参加10名、オンライン参加24名

事前申し込みとし、定員オーバーの場合は先着順といたします。参加方法についてはメールにご記入ください。

 

申し込み〆切:10月1日(日)

申し込み(問い合わせ):以下の事項にご記入のうえ、sougoshien@jagp1983.comに送信してください。

①お名前:

②ご所属:

③職種:

④e-mail:

⑤日本集団精神療法学会の会員 or 非会員:

⑥相互支援グループに参加歴がない非会員の方は、紹介者の氏名:

⑦当日に連絡の取れる電話番号:

⑧現地参加 or オンライン参加:

 

参加費:3,000円(大学生・大学院生2,000円)参加される方に振込先をお知らせします。

 

*研修受講証明書(学会キャンディデイト対象)をご希望の方はお申し出下さい。

*セッションは録画録音し、心的外傷に集団精神療法をより有効に活用する研究に使用させていただきます。発表に際しては、個人が特定されないようにいたします。あらかじめご了承ください。

 

*ハイブリッド開催にあたりお願い*

・インターネットで行うリスクを回避することは難しいことをご了承ください。

・通常の体験グループと同様に、守秘義務に留意してください。

 

今後の災害とメンタルヘルスに関する研修会の予定

・「災害とメンタルへルスに関する相互支援グループ」

第9回 2024年3月16日(土) or 17日(日)第41回学術大会・大会企画ワークショップ

 

・KOBEグループ勉強会主催研修会(相互支援委員会協力)2023年12月3日(日)13:30~16:30

※詳細は決まり次第、学会公式ウェブサイトやメールでお知らせします。

 

日本集団精神療法学会相互支援委員会

委員長:安部康代

委員 :高富栄、髙林健示、長友敦子、橋本明宏、針生江美、藤信子、藤澤美穂、山本創

 

メールアドレス sougoshien@jagp1983.com

20231015相互支援G案内HP掲載用原稿②

2023年8月25日教育研修委員会

キャンディデイト、グループサイコセラピスト、スーパーヴァイザーの皆さま
CGSミーティングのお知らせが会員ページに掲載されています。ご確認下さい。

会員ページへ

2023年6月8日倫理委員会

2023年6月3日JAGP40